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2009年4月

2009年4月22日 (水)

たんじょうび

12


実に3週間ぶりの更新。
3週間ぶりって……と自分でも思うけど、今月はなんだか慌ただしい。
私をよく知るひとは「いつものことでしょ」と思うだろうけど、
何で慌ただしいかは、また追ってご報告することにする。


というわけで、とりあえず2週間前のことから。
おかげさまで、私も35回目の誕生日を迎えた。
こうしてアメリカで迎えることになるとは、つい5年前には思ってもみなかった。
毎年変わらず健やかに誕生日を迎えられる幸せに、心から感謝したい。


1


誕生日の当日は、夫がディナーに連れて行ってくれた。
ミネアポリスで最も有名な劇場 GUTHRIE THEATER の1Fにあるレストラン Cue へ。
海のない内陸にあるミネソタでは、お肉と較べて魚介類が高い上に鮮度は低い。
だから外食する時にシーフードを食べることにしている。


2
*ムール貝とハーブの白ワイン蒸し


3
*ロブスターと真イカのグリル


ワインのメニューリストを開いたら、
なんとアペリティフの欄に、日本の発砲にごり酒があった。
にごり酒を食前酒に飲むなんて、アメリカ人はわかってないよねなどと話しつつも、
気になって頼んでみたら、意外にも軽くてすっきりとした甘さ。
しかも微発砲で、その泡の微細具合がいかにも日本人の仕事らしい。
これをアペリティフに持って来た、このレストランのソムリエはあっぱれだ。


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8


すっかりいい気分で、次に出かけた先はメジャーリーグ観戦。
ミネアポリスには、ミネソタツインズというチームがあって、
地元の人は一人残らず応援している。
Hubert H. Humphrey Metrodome は、その拠点でもあり、大きさは多分東京ドームと同じくらいだと思う。


4
*どこの国にもいるダフ屋のみなさん。


この日は、シアトルマリナーズとの試合だったので、
WBC 終わりのイチロー選手や城島選手が観られると愉しみにしていた。
ところが、その日はイチロー選手には珍しい、まさかの故障者リスト入り…。
WBC の疲労は半端なものじゃなかったようだ。
とても愉しみにしていたけど、WBC で素晴らしいゲームを披露してくれたイチロー選手には、
ゆっくり休んでもらいたかったので、その日はよしとすることに。
久しぶりの野球観戦だったけど、ドームにはやはり特有の空気があって、
これといって野球好きでもないけれど興奮する。
席に座ると、後ろから名前を呼ばれたので振り返ってみたら、
なんとビッグサプライズ!お友達のまさこさんファミリーがいらしていた。
まさこさんは二児の母でありながら、とてもスマートに催しごとをアレンジしてくれる。
女性像として、私が尊敬する方のひとり。
しばしの帰省からお父さまと一緒にミネソタに戻っていらしたそうで、
偶然の再会に、一層興奮も高まる。


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*左から、まさこさんのお父さま、長男のカイちゃん、まさこさん。
 中央上、次男のケンちゃん。抱いているのはダンナサマだけど腕のみのご出演。


6
*右端、この日1本もヒットが出ず、うつむいてベンチに戻る背番号2番、城島選手。


9
*一緒に観戦に行った友人たち。左から、夫、友人のありうみさん、ジム、ゆりかさん。


日本では3塁側にホームのチームを応援するファンが座り、
1塁側にアウェイのチームを応援するファンが座るけど、
アメリカはあまりに広いため、敵陣に乗り込んでくるファンがあまり多くない。
よって、マリナーズ側の1塁上のスタンドもツインズファンで埋め尽くされている。
終始押され気味だったツインズにこの日は観客も見かぎり、
8回くらいから渋滞を避けるために、ぽろぽろと帰り始めるひとがいた。
しかし!その後、2点ビハインドで迎えた9回裏2アウト満塁という場面で、
ツインズの2番バッターがヒットをたたき出し、サヨナラ勝ち!


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ファンは大盛り上がり♪私たちも乗っかって大盛り上がり♪
「昨日の試合観た?」と挨拶代わりに語られるほど、ファンにとっては嬉しい快挙だったらしい。
こちらに居る間に一度は観てみたかったメジャーリーグ観戦。
その後は、友人たちとダウンタウンのバーで勝利の祝杯をあげつつ、誕生日を祝ってもらった。
試合内容も充実していたし、嬉しい出会いもあり、とても愉しい誕生日だった。


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日本とミネソタの友人たちから誕生日プレゼントもたくさんいただいた。
送料も高くつくのにわざわざ日本から贈り物をしてくれた友人や、
カードやメイルを送ってくれた友人たち、本当にありがとう。
そして知り合って間もない私の誕生日を祝ってくれる
ミネソタの友人たちの気持ちは、本当に嬉しかった。


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*左は、アルファベット順に動物が紹介されている『アルファペット』。
 右は、お仕事でご一緒させていただいたことのある亡き河合隼雄氏の著書『神話の心理学』。


大の本好きで、私が姉のように慕うみきさんから届いたたくさんの本と雑誌たち。
中でも『アルファペット』は、みきさんの後輩の方がつくられた本だそうで、
アルファベット順に動物の英語名を紹介し、そのアルファベット型の動物が、
はさみとのりを使わずにつくれるという、とてもよくできた本。
『神話の心理学』は、読んでみたかった本なのですごく愉しみだ。


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*前出左の『アルファペット』の中身。


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*左から、『スーパーマーケットマニア・アメリカ編』、『ポストオフィスマニュアル』、
『「月夜」の楽しみ方24』。


出版社に勤める高校時代からの友人、みゆからの贈り物は上記の3冊。
私の好きそうなものを選んで買ってくれたという友人の観点が、また新鮮で嬉しい。
『スーパーマーケットマニア・アメリカ編』は、私が好きなNYの食料品店 ZABARS が大特集されているし、
『ポストオフィスマニュアル』は、その国らしさは郵便局に表れるという興味深い視点で、
世界中のポストオフィスを紹介してあり、私が二十歳の頃に住んだスイスも載っている。
『「月夜」の楽しみ方24』は、文字通り24項目に分けて楽しみ方が記されていて、
秋の夜長に読みたい一冊だ。


18
*人生初、自分の聖書。


コバルトブルーの表紙が目に鮮やかな聖書。
ミネソタで私が母のように慕うひとみさんと、昔からの友人のように仲の良いゆりかさんから。
私がたくさんのことを経験させていただいているのは、おふたりのおかげ。
聖書は「人生のマニュアル」と言われ、人生に起こりうるすべてのことが書かれているそうだ。
アメリカを知るには、「キリスト教」を学ばなくてはと痛感し、
今年の始めから、英語の勉強も兼ねてバイブルスタディに通っている。
とはいえ、この世で起きる事象はすべて神が創ったものだと信じるには、
あまりに私の中で消化しきれない疑問が多すぎて難しいけれど、
キリスト教の真理を知ることで、アメリカにもたらされる現象が理解しやすいのは事実。
紀元前1400年から1500年間に渡って書かれ、
この数千年もの間、変わらずに受け継がれている一冊の読み物があると思うと、
それなりの説得力がある。どれだけかかるかわからないけれど、
読んでみようと思う時に気ままに読んでみるつもりだ。


19
Cuisinart のミニフードプロセッサー。


最後に、兼ねてから私が欲しいと思っていたフードプロセッサー!
これは、私のヨガの先生でもあり、たくさんの価値観を共有している大切なお友達のちかさんから。
アメリカに来て、何でもゼロからつくる奥様が多いことに驚いた。
日本で手みやげというとお気に入りのお店で買って行くことが多いけど、
こちらではパンもお菓子もお料理もみんな手づくりで、さっと作って持って行く。
外で買うものになかなか満足のいくものがないから、自分で作るようになるのだとか。
そんな影響で、日本にいる時から欲しかった、ル・クルーゼの鍋と圧力鍋に加え、
フードプロセッサーもパン焼き器も欲しいと思っていた。
特にフードプロセッサーは周りにいる料理のプロたちはよく使いこなしているけど、
ごくごく一般的なレベルの私みたいな主婦が持っていても、宝のもちぐされだと思っていた。
しかも、日本とアメリカでは電圧が違うので、買うのも躊躇していたところ、
突然いただいた袋を開けたら、フードプロセッサーがいた!!!
しかも、誕生日だなんて言ってなかったのに…。一生大切に使わせていただく。


そんなわけで、家族を始め、友人たちに本当に感謝。
みなさんのおかげで、今の私がある。
こうして私も、35歳になった。

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2009年4月 1日 (水)

賢いJazz

1


ある音楽家一家のお誘いで、セントポールにある Jazz Club に連れて行っていただいた。
個人的には音楽は好きなほうだが、特にジャンルにはこだわらず、
いいと思うものは何でも聴くようにしている。
基本的には断然ライブ派だが、アメリカに来てからというもの、
家ではほとんどテレビを観ないし、車をよく運転するので、
イヤホンを通さずに音楽を聴く機会が格段に増えた。
聴く媒体は、iTunes と iPod にお世話になるか、
一日中いい雰囲気の JAZZ が流れている JAZZ 88 FM


今回行った Jazz Club は、The Artists' Quarter といって、
1920年に建てられた歴史あるビル Hamm Building の地下にある。
ビルのエントランスには飾り天井が見事なエレベーターホールがあり、
昔気質でクラシカルな内装の床屋さんや、味にも定評があるビストロが入っていたりする。


The Artists' Quarter は、現役のミュージシャンたちによって運営されている JAZZ Club で、
様々なアーティストが日替わりでライブを行なう。
カバーチャージは無料のものもあるが、大抵$5〜$10ととてもリーズナブル。
この料金で本格的なジャズが生で聴けるのだからアーティストに申し訳ないくらいだ。


この夜に演奏したアーティストは“PETE WHITMAN'S X-TET”。
4人で演奏するのがQuartet(カルテット)だから、X-tetは10人で編成されている。
日中は音大の教授やプライベートレッスンの講師など職業は様々だが、
月に一度みんなが集まり演奏するという貴重な機会。
この大人たちが、ほんとうに格好よかった。
容姿は統一感がなく、Tシャツにジーンズの人もいれば、ドレスアップした人もいるし、
白髪のベテランもいれば、モヒカンにシャツをビシッと着た若手もいる。
一見自由な雰囲気を醸し出す彼らの演奏を聴いて行くうちに、
気ままに音を奏でているのではないことが、素人の私でもわかる。
一緒に連れて行ってくれた家族の、音大に通っているお嬢さんがこう言った。
「彼らの Jazz は、賢い Jazz なんです。」と。


なるほど。一心不乱にリズムを刻みだすドラマーも、
片手に2本、計4本のスティックを自在に操るビブラフォン奏者も、
歌うように吹きあげるトランぺッターも、みんなお互いのスキルを信頼し切っている。
Jazz は、その場のセッションから生まれるグルーブ感を愉しめる音楽だが、
彼らの演奏は、その場の空気や互いの音を愉しみつつも、
すべて計算し尽くされた緻密さを感じさせる。
野球のバッテリーのように、指のサインやアイコンタクトで、
見事なまでに10人の音が合わさり、紡ぎだされていく。
「音楽って、愉しい。」
そう思わせてくれるライブだった。


ミネソタには、ローカルな人々によるローカルな文化が根付いている。
地元企業や個人投資家による文化施設への出資、地元アーティストの支援、
美術館や劇場への子供無料招待や出張授業などの地域活動、食分野では地産地消、
そして、音楽も決して例外ではない。
ミネソタオーケストラも全米ではかなりレベルの高い交響楽団だが、
名声や権威を求めて海外公演に同じ予算をかけるなら、
それらを地域活動に活かそうという考え方なのだそうだ。つまり優先順位が違う。
それは内陸にあるという地域性も多いに関係しているとも思う。


一方で東京は、大なり小なり、歴史あるものから前衛的なものまで、
ありとあらゆる作品が世界各国から集まり、ある意味でカルチャーも飽和状態にある。
世界的に有名な美術館の展覧会が来ると連日長蛇の列ができるけど、
一体どれだけのひとがその本質的な価値を知っているのかはわからない。
アメリカよりずっと古い昔から独自の文化を持ちながらも、
国内外を含む幾多の作品から、観客が観たいものを選べる環境にある東京と、
将来を見据えて地域に投資し、それらが実り育まれて来たミネソタ。
そこに触れる観客の目や耳や感覚は、それぞれにどう研ぎ澄まされていくのか。
気になるところだ。


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